ブックタイトル塾新聞 2014年第3号

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概要

塾新聞 2014年第3号

7 塾新聞2014年(平成26年)5月1日 第3号今回の「英語教員問題」の解決策は大きく二つある。①ALTと呼ばれる外国人教員を学校に配置して、彼らに英語授業を行ってもらう。②必要とされる英語教員を養成する。それぞれのこの解決策を検証してみよう。文科省の状況調査によると日本国内のALTの人数は一一、一四〇人(中学校八、五〇五人、高等学校二、六三五人)にのぼる。多くの小学校がこの影響を受け、英語のネイティブを外国語指導助手(ALT)として雇用し始めている。小学校ALTの数は明らかにはなっていない、しかし最高で五、〇〇〇人位のALしかし、上手にITを取り入れた研修によって短時間、低コストで、多くの英語教員を養成することは可能になる。具体的に言うとe -ラーニングを取り入れた研修プログラムであればこのような効果が見込めるのだ。e -ラーニングの可能性は世界中に色々なケーススタディーで実証されている。私は日本でe -ラーニングの素晴らしさを肌で感じている。実は文科省が推薦するのはALT配置なのか、あるいは英語を教える教員を養成することになるのかまだ見えない。おそらくALT配置も、教員養成も行われるだろう。しかし、後者の傾向が強くなるほど民間教育への影響は大きくなると考えられる。学校の英語の教員が塾の講師よりもスキルや知識が高くなった場合、ALTの配置と英語教員の養成必要とされる教員研修制度とは?塾への影響も少なくない……日本の英語教員の問題を考える 文科省から発表されている英語教育改革の大きな課題の一つは「教員のレベル」といわれる。小学校で専門の先生から英語を教わるようになり、中学校の授業は英語で行うことが基本になって、中学卒業時の目標レベルは英検準2級程度である。高校の授業は英語で行われ、発表、討論、交渉等など言語活動が重視される。今後どのように英語教育改革を実現できる教員を確保するかが非常に重要な問題なのだ。そして、この問題の解決策は塾講師に大きな影響を与える可能性がある。アジアの視点での英語教育②トンクス・バジル(株式会社エドベック 副社長)Tが日本全国の小学校で雇用されているという。ALTの多くは、日本人教員と一緒にチームティーチング・プログラムで英語授業を担当する。チームティーチング・プログラムの課題は多い。指導スキルの保証のないALTとさまざまな英語レベルの日本人教員が同じチームになるのは容易ではない。実際にチームを組んだ教員たちの多くは、ネイティブも日本人も、チームティーチングに対して否定的な見解を持っている。チームティーチングは、その性質から、教員一人で指導するモデルよりも経費がかかる。教育的効果は、経費を上回っているのか?   という疑問を持つ専門家は少なくはないのである。では、ALTを配置する事に課題が多いならチームティーチングは思い切ってやめて、日本人の教員を養成すべきなのか?   日本人の英語の教員を養成することは可能なのか?その答えは「可能!」アジアの中でも諸外国の状況を見るとALTに頼っている国もあれば、そうでない国もある。日本と同じ状況になっている韓国では、EPIKプログラムによりネイティブを学校に配置している。二〇一〇年に、四、八一八人が配置されたそうである。しかし、ALTに頼っていない国もある。文科省によると中国や台湾では、あまりネイティブは活用されていない。では日本の状況を中国や台湾のように改善するには何が必要なのだろうか。実は日本人の英語教員を養成する事の一番大きい課題は教員の言語知識、スキルとモチベーションではなく、教員研修制度である。忙しい現場で教員研修の時間を確保することは容易ではなく、教員レベルを上げる為に時間と費用がかかるのは間違いない。私はe -ラーニングを活用した児童英語養成講座(www.teyl-j.org) のチューターも務めている。二〇〇七年から小学校の教員を含めた多くの指導者たちにe -ラーニングで英語を教えるための知識やスキルを教えてきた。昨年はこのコースを受講する教員が急に増えてきた。コース全体の受講者数は前年対比で一四六・八%となった。文科省、教育委員会でe -塾の講師の立場は難しくなる。塾では英会話教室のように外国人講師を採用する事は考えにくいとはいえ、skype、他のインターネット通信プログラムを使ってネイティブによる授業を提供する必要が出るかもしれない。せめて、塾の英語の講師トレーニング、資格見直しの必要があるかもしれない。ラーニングの教員研修を実施すれば英語教育改革を実行に移せる教員の確保が可能となる。今から三億年前の古生代デボン紀は「魚の時代」といわれている。発見された魚の化石の種類が膨大であり、進化が顕著であるだからだ。この時代、大きな環境変化が地球上に多発し、大部分の魚類が滅亡したらしいが、一部は進化を遂げて陸に上がり、生き延びていった。コンピュータ(人工知能)も進化????を遂げている。今、国立情報研究所などの研究チームが、ひとつのプロジェクトに取り組んでいる。『人工知能が人間の代わりに東大合格を果たす日が来るのか?』……その可能性を探るプロジェクトである。昨年秋、同チームが開発した人工知能「東ロ魚が陸に上がる日片寿家其六ボくん」が、大学入試センター試験と二次試験の模擬試験に挑んだ。人工知能は、人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステム。天気予報や家電の制御に使われている。話しかけると質問に答える、「iPhone 」の「Siri」も人工知能の成果だ。将棋や囲碁、チェスなどのゲーム分野でも活躍している。昨年、アメリカの人気クイズ番組で「ワトソン」という人工知能がグランドチャンピオンに挑戦して勝利を収めた。しかし、人工知能は、言葉の意味を理解しているわけではない。「Siri」も「ワトソン」も、統計的な判断に基づいて答えているという。「ワトソン」は問題文のキーワードをインターネットで検索し、言葉を選んで答えているに過ぎない。人工知能の基盤は、関数と統計である。「ワトソン」や「Siri」も統計的な手法で成功した例だ。自分で思考して答えを導き出しているわけではない。「東ロボくん」にも統計的な手法が用いられている。だが、大学入試とクイズとでは目的も質も違う。入試は、出題者の意図をくみ取り、論理的な思考力を駆使して答えるものでなくてはならない。では、「東ロボくん」の実験結果は、どうだったのか。判定は「東大合格は難しい」であった。しかし、この判定には意外な「おまけ」がある。東大は難しくても「多くの私立大学には合格できる」とされたのだ。教育関係者にとって、看過できない結果である。これからの時代、論理的な思考力と合わせて、問題解決型の能力がますます要求されてくるだろう。一方で、コンピュータがますます高度化し、人々から知的な仕事を奪っていくだろう。大きな環境の変化が起きているのだ。日本の大学も、そして、学力を育んで大学に子どもたちを送り出す塾も、進化を遂げなければならない。コラム